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きゅんもえきゅん死にどんとこい!
『one side love』 蓬生×千秋
ソファに座り楽譜を読むその背中を、蓬生はゆっくりと抱きしめた。
素肌を隠すシャツのボタンを、蓬生は指先だけで器用に外す。
見えたそこへと手を滑り込ませたところで、身体の主である千秋が視だけで蓬生を咎めた。
「…………」
「邪魔してへんやんか。千秋は千秋の好きなことしててええよ?」
「で、お前はお前の好きなことしてる、ということか」
「正解。おりこうさんやね、千秋は」
滑り込ませた指先で、蓬生は千秋の乳首を軽く摘み上げる。
千秋は入り込んだ腕を無表情で、パシリと叩いた。
「邪魔はせん、と言ったのは誰だ?」
「だから、してへんで?」
「俺が支障を感じている、ということに反論は?」
「俺には支障はないんで」
叩き落された手を蓬生は撫でながら、千秋へと唇だけで笑う。
そしてその指先を、開きかけた千秋の唇へと当てた。
「片思い」
そんなこと思ってもいない声だと、千秋は思う。
千秋の唇に置いた指先に、蓬生は唇を寄せて呟く。
「千秋は楽譜に、」
唇が触れそうで触れられない距離に、蓬生はにっこりと笑った。
「俺は千秋に」
言うだけ言って、千秋へと蓬生は唇を触れさせることをしない。
蓬生が言う片思いが、唇の所有権だというところが千秋は面白いと思った。
だからあえて、千秋は蓬生を無視する。
目の前にある蓬生の笑顔を見ず、唇に触れている指先も、千秋は気にしなかった。
「身体から、っていうのもアリやんな?」
返事をしないことをいいことに、蓬生はまた千秋の肌へと指を滑らせる。
唇へと置いた指で千秋の頬を撫で、そのままピアスを弄ると耳の裏を擽った。
そして自分の指先を追いかけるように、蓬生は唇で同じ場所を辿ってゆく。
蓬生は千秋のシャツのボタンをもうひとつ外し、首筋から鎖骨へとゆっくり味わいながら舌で愛撫をした。
「……死にそう、」
本当に一切無視をされて、蓬生は千秋の鎖骨辺りへと額を置いて小さく呟く。
触れているだけで楽しいことは楽しいのだが、蓬生にとっては千秋が千秋であることが一番の自分の存在理由なのだ。
自分から仕掛けたことなのに相手にしてもらえないことに、蓬生はあっさりと遊びをやめた。
「ちあき」
これ以上ないほどに額を埋め、蓬生は千秋の背中を抱きしめる。
甘えたいわけではなく、ただ寂しかった一人遊びに、蓬生は千秋を求めてもっとと抱きしめた。
「……一生そのままでいいのか?」
軽い溜息とともに、蓬生の頭の上に千秋の言葉が落ちてくる。
それでも千秋は蓬生に自ら触れることはせず、視線は譜面へと置いたままだった。
「いやや。さわって、千秋。かまって、千秋」
「その前に言うことがあるだろ?」
どこまでが本気なのかわからない蓬生の泣きそうな声に、千秋は負けて楽譜を閉じる。
「片思いなら、告白ぐらいしてみろよ」
「千秋が大好き」
間を置くことなく口早に蓬生は言った。
そんな蓬生に、千秋は大きく息を吸い込みゆっくりと吐き出す。
千秋は思わず可愛いと思った蓬生の髪を撫で、そっと背中を抱きしめてやった。
「ほら、蓬生。顔上げろ。本気でもう一度言ったら、キスしてやる」
子供が空を見上げるように、蓬生は千秋の表情をゆっくりと見上げると、唇を開く。
「愛してます、千秋」
蓬生の告白に、千秋は唇を重ねて答えてやる。
そして幸せそうに閉じられてゆく蓬生の瞼を千秋は見送ると、自分も追いかけるように瞼を閉じた。
END