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×CANDYシリーズ:神南:

2010-05-13 00:00


勝手にシリーズ、第2弾
本日は神南編
最近、端末が使える時間が少ないので(涙)
ショート×ショートな感じなものを、苦し紛れにUP中


明日は、ハル×響也(の予定)
いいんだ、自分だけが楽しいんだ!
というか、神南をトリにするべきだったと
今更ながらに思ったよーう






 


You talk to Lollipop(土岐×東金)

 


 四角いプラスティックの箱の中身はカラフルだ。
 ライヴ終わりのバックステージで、蓬生はファンのひとりがプレゼントしてくれたその箱の中へと手を入れ、一緒についてきた手紙を適当に読んだ。
「好きです、応援してます、また見に行きます。ねぇ」
 そうして欲しいのは山々だが、ありふれた言葉ばかりで蓬生には響いてこない。
 箱からひとつ取り出した物のラッピングを破り、中身を蓬生は口に咥えた。
 それは棒付きで小ぶりのいわゆるロリポップキャンディで、ひとつで30分、というキャッチコピーがついたメジャーなものだ。
「まあ、これはこれで嬉しいけど」
 適当に取ったキャンディの棒を持ち、蓬生は歯に当ててカチカチと音を鳴らしながらそれを舐める。
「……なんの味やろ、これ」
 蓬生はキャンディを咥えたまま、破いたラッピングを見た。
 派手な色合いと英語で書かれた、いかにもアメリカンなラッピングには、"Cherry"と表記されている。
 口からキャンディを取り出し、冗談みたいな赤い色をしたそれを眺めて、蓬生は一言呟いた。
「ウソやん」
 "Cherry"というよりも、どうにも梅っぽい味がする。
 嫌いな味ではなかったが、"Cherry"だと言われたら、あまり食べる気は起こらなかった。
「待たせた、蓬生」
 ライヴハウスのマスターとの挨拶を終えた千秋が、コーラを手に蓬生の元へと歩いてくる。
 捨てるにはもったいなく、蓬生は結局キャンディを口に咥えて、千秋へと手をあげて返事をした。
「お疲れさん」
「ああ、今日は凄くよかったな!」
 興奮冷めやらぬ千秋が、背もたれを前にし腕をかけ、椅子に座る。
「そうやね」
「客のノリがよかったのは、選曲がよかったんだろうな」
「うんうん」
 蓬生は語り始めた千秋の声を、キャンディを咥えたまま聴き流す。
 こうなってしまった千秋はしばらく語り続けるため、やり過ごすには蓬生はそうするしかなかった。
 別に聴いていることが嫌いなわけではない。
 暑苦しく語られることが蓬生は苦手で、今は相手が千秋だから聴いているに過ぎないのだ。
「あの新しくしたアンプは正解だったな」
「そうやねえ」
「それに……」
 永遠に続くかと思うほど、千秋は饒舌だ。
 蓬生はよく喋る千秋の唇を見つめて、自分の唇を動かした。
「あ、」
 蓬生が小さく呟いたことなど千秋はお構いなして、話を続ける。
 問われたところで、キャンディを咥えていたことに気付いたなので、それはそれで蓬生は特に気にしなかった。
 キャンディの棒を指先で捕らえ、蓬生は取り出したり咥えたりを繰り返す。
 時折、丸く赤いそれを舌を出して舐めて、そしてまた咥えた。
 そんなことを繰り返し、蓬生はまた千秋のよく動く唇を眺める。
 一瞬話が止まったところで、蓬生は千秋の名を呼んだ。
「千秋」
「なんだ?」
 そして蓬生は開いた千秋の唇へと、今まで自分が咥えていたキャンディを押し込む。
「ほうせ、」
「それ、ひとつで30分。食べきって味がわかったら教えて?」
 突然会話を止めるように放り込まれたキャンディを、千秋は仕方なく舐めてみる。
 舐めながらチラリと蓬生を見上げ、にやりと笑うと千秋は言った。
「お前が今まで舐めてたなら、30分ってことはねぇだろ」
「エロい褒め方するなぁ」 
 小さくなったキャンディを千秋は舌先で舐めている。
 蓬生は千秋が何が言いたいのかを知って、同じように笑った。
「で、味は? わかる?」
 千秋は舌でキャンディを転がし、味を探ると眉をひそめる。
「……なに味なんだ? これ」
「チェリー、やて」
 破いたラッピングが証拠だと、蓬生は千秋に見せた。
「ウソだろ」
「ねえ?」
 やはり同じことを思った千秋に、蓬生は同意する。
 馬鹿馬鹿しいと千秋はキャンディを噛み砕き、棒だけを咥えたまま椅子から立ち上がり、蓬生を顎でドアへと促した。
「今からチェリー食いにいくぞ」
「はあ?」
 千秋の背中を追い、突然の言葉に蓬生は呆れた。
 突然なのはいつものことでもう慣れたものだが、蓬生は今からどこかへ行く気にはなれない。
「本気やの?」
「なんだ、嫌なのか?」
「嫌や言うても、行くんやろ」
「わかってるじゃねぇか」
「まあ、それが千秋やから。……あ、そや!」
 蓬生はとてもいいアイディアを思いついたという表情を千秋へと向けて、にっこりと笑うとポンと両手を一度叩いた。
「千秋のチェリーを今夜俺が食べるってのは、どうやろ?」
 あからさまに嫌そうな顔をした千秋が、きつい視線で蓬生を見上げる。
「寒いぞ、蓬生」
「ええ~、本気やのに」
「うるさい」
 馬鹿にした溜め息を吐くと、千秋は蓬生を無視して歩き出した。
「千秋の可愛いんよ? こう、擦ったり軽く噛んだりすると、赤くなって」
「うるさい! と言っているんだ!」
「少し硬くなったところが、美味し、」
 蓬生が最後まで言い切れなかったのは、千秋に仕返しと言わんばかりに棒を口に突っ込まれたからだ。
 キャンディがなくなった、ただの棒を蓬生は咥えて齧る。
「それで30分遊んでろ。そうしたら考えてやる」
 その言葉でとたんに黙り込んだ蓬生に、千秋は声を上げて笑った。
「いいか、きっかり30分だからな」
 笑いながらそう言うと、千秋は腕時計を見る。
 齧った棒を揺らしながら、その腕時計を蓬生も覗き込んだ。
 あと30分経つと、日付が変わる。
「さあ、行くぞ」
 週末は目の前だ。
 千秋は何も言わない蓬生をやっぱり笑い、その背中を押した。

 

END

 

 

うるさい唇にはキャンディ突っ込んでおけ!ってな話デシタ
というか、小さい場所に書くと長く感じる、これは!
オヤジくさくなってしまった蓬生に、謝りたいと思います
ごめんよ、蓬生!!







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